私のごく身近に、新型インフルどころじゃない人がひとり。
うちの運転手Hさんである。
2ヶ月くらい前、彼は家を買った。日本式に言えば2LDKの小さな家だそうだが、そのために、持てる資産は一切合財放出し、かつ残りはローンを組んだ。引越しは来年になる予定。
それでも、運転手が家を買うのはすごく珍しいことだという。ついでに他人のやっかみも買ったらしい。
1ヶ月くらい前から、彼の奥さんの携帯に不審なメールや電話がくるようになった。
いわく、
「Hさんは昼間他の女性と会っている」
「その女性はHさんの子を妊娠したが堕胎した」
「Hさんは毎月彼女に100万Rp渡している」などなど。
それを見た奥さんは、当然Hさんに問いただす。その問いただし方がハンパない。一晩中耳元でわめき続けるらしい。「寝られない」と赤い目をしてくることが続いた。
彼にも責任がなくはない。
そもそも普段から女遊びをしている節がある。独身の元同級生(女性)などからお誘いがあると、せっせと出かけている様子。
男性が何人もの女性を囲うことができ、その代わり囲ったすべての女性に平等に愛情を注がなければならない(つまり夜の相手をしなければならない)イスラムの国。彼はクリスチャンだが、そのあたりはちゃっかりイスラム的。
適齢期になって結婚していない女性は「かわいそう」だから、「愛情を注いであげている」んだそうな。
ただしそれらはすべて「それだけのこと(奥さんが一番大事)」だと一応言っている。
そんなわけで最初は「身から出たサビでしょ」と面白がっていた私も、だんだん笑っていられなくなってきた。
行き詰まった奥さんは、
バイクでずっとHさんを尾行するという行動に出た。4日間、こっちは全然気づかなかった。後で「一日の行き先と行動をすべて言い当てられた」と聞いて、一日の多くを彼と過ごす私はちょっとびっくり。
と同時に、そこまで思いつめている奥さんが気の毒になった。
幸いその間、彼はまじめに働いており、いっしょに過ごした女は私だけだった。もちろん
運転手として以上の愛情は注がれてない。結局「現場」を押さえられるようなことはなかったわけだが、なお疑惑メールは来続け、疑いは晴れない。
彼が家に帰ると、いつも奥さんは怒っている。このごろは帰るのがイヤになって、昼間の空き時間も家に戻らなくなった。それで奥さんはなおさら不安を駆り立てられ、何度も電話してくる。運転中もかかってくる。彼もいい加減イラついて、運転は荒くなるし、先日は他の車と喧嘩しそうになった。
ついには、「(メールを送ってくる)犯人がわかったら、きっと殺してしまうからもう働けない、ごめん」などと物騒なことまで言い出す始末。
彼といい奥さんといいその犯人といい、感情表現がおっそろしくストレートだ。インドネシア人がみんなそうだというわけではないが、暑い国だと細かいことはごちゃごちゃ考えちゃーいらんねー、ってとこなんだろうか。うつ病とか少なそうだ。
お互い主張ばかりしていてはうまくいかない。でも、自分の気持ちを抑えているうちに、ホントの気持ちが相手に伝わらなくなって、何のために抑えてるのかわかんなくなって、終いに自分が何がしたかったかわかんなくなっちゃう日本人には、ちょっぴりうらやましかったりする。
それはさておき、そろそろ仲直りしてくれないと、我が家の安全が脅かされる。

ある日机の上に書置きが
「てまのかかるやつ刀をもて」意味不明ですが字も赤いし なんか怖いです
こんな走り書きをする小2女子はどうなんでしょう
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