私がいつも行くショッピングモールに、プレイルームがある。最近力をもてあまし気味の5号、向かいのマーケットでメイドさんが買い物をする間、遊んで待つのが習慣になった。
30分80円で、係のおねいさんが2人もいて、子どもに目を配ってくれる。私はすぐそばのフードコートで、子どもを眺めつつ、本を読んだり書き物をしたりしている。
そうそう、そもそもはたぶんママたちがそのフードコートでゆっくりご飯を食べるため、もしくはマーケットでゆっくり買い物するためのプレイルームなのだ。ここの金持ちの家では、子育ては外注が常識。
その間、ここでおねいさんもしくは同伴のメイドさんが子どもを見てくれるというわけ。子連れ母にはありがたい施設だが、人件費の高い日本じゃ成立しない。
先日、そのプレイルームで5号(写真:黒メガネ)とそのガールフレンド(白丸内、潜玉中)を遊ばせていた時のこと。
中華系とおぼしき女の子が、二人のメイドさんを引き連れて登場(中央)。例によって色白ぽっちゃり、推定年齢4歳。仮に名前をプニョとする。

以下、赤字は私の心の声。あくまで日本人の私の感じ方であって、グローバルスタンダードではない。
メイドさんたちはスプーン片手に、走り回るプニョを追いかけては、口の中に食事を押し込む。
公共の遊び場で食事をするなよ。つか歩きながら食事ってどうよ。でも実はこれは、珍しいシーンではない。泳ぐ子どもを追いかけて、プールサイドに顔を上げたところに食べさせるメイドさんもいるらしい。アシカかよ。しかもその献立は、かなりの確率でおかゆっぽい流動食だ。食事というより、
餌付けに近い。
そもそも自分で食べさせなくていいのか?そんなズルズルの食事ばっかりでいいのか?食事への意欲は?あごの力は?よく見ると、メイドさんはそれぞれの手にスプーン、それに食事の入ったタッパとタオルを持っている。これはかなりのツワモノ。2本のスプーンと口ふきタオルが交互に差し出される様は、まるで息の合った餅つきのようだ。
いや、そんなことより何より、もうカロリーはじゅーーーーぶんに足りてると思うがどうだー??
今2時。それは一体なにごはんだー?プニョはそれだけでは飽き足らず、やがてマーケットの包みから、買ったばかりとおぼしきドーナツをとり出した。暗闇の中でも間違いなく食べられそうな、蛍光色のチョコレートがついている。そして、それをおもむろに5号に差し出した。
受け取った5号は、真っ直ぐに私のところへ持ってくる。さすがちっちゃくても日本人、お行儀がよいわ、と思いたいところだが、たぶん
お腹がすいてなかっただけだと思われる。
お礼を言って、そのままかばんにしまう。
やがて遊び終え食べ終えたプニョは、当然のように抱っこ布(スリング)に収まって帰っていった。それは、でっかいクマのぬいぐるみを抱えているように見えた。
歩かせろーーーーー!!!一応フォローすると。
質よりも量、おそらくは何よりも「たっぷり」が豊かさの象徴なのだ。テーブルに乗り切らないくらいの料理が出るのが何よりのもてなしの、満漢全席の国だから。そんな中国人に仕えているメイドさんたちは、子どもに「お腹すいた」と言わせたらクビらしい。日本人家庭でも、どんなに言っても食事を作りすぎるというメイドさんが多いのは、自分たちの貧しさの反動もあるのかもしれない。
ともかくこれが、今この国の中華流子育てなのだから、私がとやかく言うことではない。
私は、もちろん子どもによかれと思う方法で子育てをしているし、今の私の考えはジャパニーズスタンダードだとも思っている。なので、少なくともこれを日本語で読んでいる人たちには共感してもらえると思って書いているが、さてそれもどうだろう。
私たちの子どもが子育てをする頃には、新しい育児の常識、食事の常識が生まれているかもね。
世界は広く、時は流れる。縦軸と横軸の交わる小さな点は頼りなく、いつだって手探りだ。
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