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笑門来福ジャワ島日記

5児の母のインドネシア通信
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  [ 犠牲祭 ]
2008-12-08(Mon) 16:06:57
<血なまぐさい写真があります。苦手な人は注意してね。>

空き地や庭先に、たくさんのヤギや牛がつながれ始めると、「ああ、またこの季節が来たなあ」(ってまだ2回目だけど)とちょっと切なくなる。彼らの生が残り少ないことを思うと、安らかな最期であることを祈らずにはいられない。

犠牲祭の日は祝日である。今年は、その最期を確かめに行ってみた。

犠牲祭は、レバラン(ハリラヤ)と並ぶイスラム教の行事である。
日の出から集団礼拝を行い、ヤギ・牛・羊などの家畜を神に捧げる。信心深いイスラムの人々は、日頃の生活には困っても、この日のために貯金をしてヤギを買い、モスクに寄進するそうである。
捧げられた家畜は、「良い年でありますように」と挨拶を交わしつつ、家族や近親者のほか、近在の貧しい人たちと分け合って食べる。

この行事は次の故事に由来する。
その昔、子宝に恵まれなかったイブラヒームがようやく息子イスマイールを授かる。が、その子がかわいい盛りの少年になった頃、子を生贄にするようにとの神の命が下る。苦悩の中にも親子はそれに従おうとし、父が今にも息子に手をかけようとしたその時、アッラーから声が掛かる。親子のゆるぎない信仰心を確認した神は、息子を助命し、その代わりに子羊が生贄にされた。

つまり、家畜を捧げること自体に意味があるのではなく、イブラヒームの示した神への信仰心・忠誠心を思い起こし、自分の欲望を犠牲にして神に帰依するという意味があるそうだ。

(参考資料:JC会報)


同行者を募ったら、1~4号全員が手を挙げた。朝7時、5人で近くのモスクへ行ってみる。

犠牲祭1

出番を待つ牛たちがつながれている。
観光地の物売りにさえびんびん針が触れてしまう1号、すでに直視できず。

近所の人たちが大勢集まってきて、周囲は次第ににぎやかに。
そんな中、近くの空き地に集められたヤギがまず一頭、運ばれてきた。

長い祈りが捧げられ、このヤギの寄進者の名前や住所が読み上げられたあと、いよいよ儀式に。

犠牲祭2

地面に掘った穴の上に太い木を渡し、そこにヤギの首をあてがって一気に喉首をかき切る。血が滝のように流れ出る。子ども達も息を呑んでみつめる。
思ったよりもあっけない。男衆たちは手早く、手馴れていて、ヤギはほとんど苦しまない。
それでも3号は姉兄の影に隠れるようにして、断末魔を聞かないように耳を塞いでいる。

犠牲祭3

穴の中にあらかた血を出した後、つるされ、解体される。見る間にヤギは「肉」になっていく。手にしている刃物はすっかり古ぼけて見えるのに、さくさくと肉を割くその見事な職人技にはただみとれるばかりだ。絵の具のように赤い血が、さっきまで生きていた命の熱を思わせる。

好奇心旺盛な2号は牛の儀式も見たがったが、50頭もいるヤギが終わってからだと言うので、そこで引き上げることに。
町の小さなモスクでさえこの数。いったいこの町全体で、いや世界中のイスラム圏で、今日一日で何頭の生贄が捧げられたのだろう。

帰りの車中、紙のような顔色で1号が「1号、ベジタリアンになる。」とつぶやく。以前読んだ森達也さんの『いのちの食べかた』を思い出したと言っていた。

なんとも残酷な儀式で、その故事からして、「宗教」や「貧困」などからすっかり縁遠くなってしまった今の日本人にはちょっと共感しがたいと思う。
そもそも、「犠牲」という言葉の概念が違う。ここでは「犠牲」は、尊く神々しい行為だ。日本では、「事件や事故の犠牲に…」という使い方から分かるように、そこには悲壮感しかない。とても「祭」る気にはならない。

それでも、誰かのおかげで今の暮らしが成り立っているということ、何かを守ろうとする時には別の何かをあきらめなければならないこともあるということくらいは、忘れずにおこうと思った。

ああ、「おにくだいすき」4号は、日記に「こわかったけどおもしろかったです。」と書いていた。
よかった、「おいしそうでした」じゃなくて。
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