笑門来福ジャワ島日記

5児の母のインドネシア通信
  [ 雇用主の器(6) ]
2008-07-19(Sat) 09:10:13
一方、事件は別の展開も見せた。

昼間、運転手さんが昼ごはんを食べに行っている間に、メイドさんから「ちょっといい?」と声をかけられた。
こんなことは、それこそ初めてのことだ。

「コーヒーのことだけど…」とおずおずメイドさんは話し始める。

先日私と言い合いになった時、運転手さんは、「コーヒーは客のためだ。」と言った。
「僕がママさんの友だちのところへ行ったらコーヒーが出る。その運転手がうちに来たら、『コーヒー出してくれよ。』と言う。僕は困る。」と言われたのだ。

それを彼女が察したのかどうかはわからない。私がコーヒーを買わなくなったので、一言言っておこうと思ったらしい。

「私たちも、ここに来た他の運転手さんも、コーヒーは飲んでない。運転手さんにはお茶しか出してない。コーヒーは、Hさんが一人でたくさん飲んでる。」

それから彼女も、堰を切ったように話し始めた。

私の意向だという理由で、Hさんにいろんなことを禁じられていたこと。うちの自転車を買い物に使うこと、使っていないマットレスを使うことなどなど。
(メイドさん達は自分達の食材などを、近所の店やバイクの物売りから調達している。)
しゃべり好きでうるさいが、相手をしないと機嫌が悪くなって怖いこと。
そして、しばしばセクハラを受けていたこと。胸やお尻を触られるらしい。
くしくも、私が彼の逆鱗に触れたのと同じ言葉を彼女は使った。いわく「彼は威張っている」と。

あまりのことに、しばらく声が出なかった。
自転車やマットについて、私はそんなことを禁じた覚えはないと言うと、彼女は満足そうにうなずき、もし何かあったら自分に直接言ってほしいと言った。
私も同じように、あなたも直接言ってね、とお願いした。

それで私の納得がいくわけがない。きっと憤懣やるかたない顔をしていたのだろう。彼女はあわてて付け加えた。
「Hさんには絶対言わないでほしい。言ったら、自分達が仕返しされる。私は今、ママさんに言えたことで、十分にすっきりしたから。」

うちのメイドさんはホントに謙虚で、初めの頃しばらくは、私と口も利けなかった。運転手さんがそんな彼女の意向を伝えてきたりしたこともあったので、てっきりうまくいっているのだと思っていた。うかつだった。

改めて、メイドという人たちの置かれている立場の理不尽さを思う。
それに対して何もできない自分に腹が立つが、何もできないことを「仕方ない」と認めることだけはしたくない。

次の日さっそく、双方が揃っている前で、「自転車、使っていいよ。」とメイドさんに言う。「他に使いたいものがあったら言ってね。」とも言う。ちょくちょくメイド部屋をのぞいて、「問題ない?」と声をかける。

国の歴史や人の価値観は、簡単には変わらない。まずは、私は味方だと、彼女達に信じてほしいと思う。

ここで思うことTB : 0CM : 2
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