2008-07-15(Tue) 14:07:53
こんなことは滅多にないが、運転手さんを呼んで話を聞く時はいつも思う。「誰かそばにいて、一緒に聞いててくれたらいいのにな。」と。一人で聞いているとよくわからなくなってきて、客観的にはどう見えるのか知りたくなるのだ。
インドネシア人(特に男性)はプライドが高い。社内資料にも「人前での叱責はたいへんな侮蔑に当たるので厳禁」と書いてあるし、現に逆恨みされて車を傷つけられた友人もいる。 親分肌のうちの運転手さんは、特にこの傾向が強い。 それ以外に、夫と役割分担をした方がよいと思っているからでもある。男尊女卑の根深いこの国の人間である彼にとって、夫は「絶対に逆らえない最後の砦」である。切り札として、夫の出番はなるべくとっておく。 というわけで、ただでさえ嫌なことを言うのだから、無用な恨みを抱かせないよう、注意をする時は1対1で話すようにしている。つまり、引き際も押し際も、私ひとりの判断による。 まず、コーヒーの件。 これは素直に認め、今後は自分で購入すると言った。(ただし、これは後々愚痴られることになる) 芳香剤の件。 私が見たのはレフィル(詰め替え用)で、自分が買ったのはカバー付だと言う。そんなに何回もカバー買わなくていいでしょ、と言うと、カバーは2回壊れたと言う。送風口に引っ掛けるタイプのカバーは、その引っ掛ける爪の部分が非常に弱いらしい。 そして、壊れたのは、いつも助手席に座るうちの2号が触ったためだと言う。自分の息子が「いらんことしい」(余計な時に余計なことをして余計な結果を招く間の悪い奴)だということは、親の私が誰よりも知っているので、それ以上反論できなくなった。 ただし、今度から芳香剤は私が買うか、一緒に買うことにした。 それから、フィルター等の交換の件。 整備手帳、実際に交換したフィルターなどを見せてもらった。確かに交換はされていた。それにしてもちょっと高くない?と言うと、もっと安いのもあるが、車のためにこれがいいと思って高いのを買った、と言う。修理屋も自分がよく知っているところで、順番を繰り上げて早く済ませてくれたりするので、そこだと学校の迎えに間に合うのだと言う。 ここまで、彼は一貫して、「自分はこれがいいと思ってそうしているが、ママさんがいいと思う方があれば、自分はそっちでも一向に構わない。そうやってより安くていいところが見つかれば、自分もその方がうれしい。」と言い続けていた。 それは確かにそうなのだが、実際問題、ことばもままならない外国で、車に詳しくもない私が、いい修理屋を見つけることなんて不可能に近い。たとえば参考として友人が使っているところなどを教えてもらうことはできるが、私が修理につきっきりで見ているわけにもいかず(また見ていてもわからず)、実際にハンドルを握る彼に「あっちの方が腕がいい」と言われればそれまでである。 結局はそういうことも含めて、運転手の仕事の範疇になってくるので、そこはある程度任せなければしかたないのかもしれない。 それにしても、購入の前に私に断りは入れるべきだろう、と言うと、それには素直にうなずいた。 こうして、殊勝な様子で話す彼の言うことには、一応筋が通っている。いくら状況が怪しくても、確たる証拠がない。 「そんな奴、問答無用でくびじゃ!」という人もいるだろう。 「言い分の筋が通ってるなら、もう少し様子を見てあげてもいいんじゃない?」という人もいるだろう。 「そんな甘いことを言ってるから相手が付け上がる」のか? 「でも、もし彼の言ってることが本当だったらどうする?」のか? 大きな体を小さくして懸命に弁解する彼を見ているうちに、私の頭の中で判断がめまぐるしく変わる。どこかに裁判官がいて、判決を下してくれないかしら、という気分になる。 だがしかし。 私の次の一言で、彼の殊勝な態度は一変する。<またまたつづく> |